きくな湯田眼科

角膜表面を潤す涙は3層構造を呈します。
表層より順に油層、水層、ムチン層です(図1)。
油層は、眼瞼にあるマイボーム腺(図2)で産生される極性脂質(リン脂質)と非極性脂質(コレステロール等)との混合脂質が主たる構成要素で、タンパクが少量混入し、油層の安定に役立っていると言われています。油層は涙の蒸発を防ぎ、水層を安定化させる重要な機能があります。

涙液層検査図1図2

マイボーム腺の脂質分泌はアンドロゲン(男性ホルモン)によるコントロールを受けており、アンドロゲンが減少するとマイボーム腺機能は低下します。
水層を構成するものは大半が涙腺により産生される水分ですが、少量は副涙腺、またごく少量は角膜上皮より産生される水分が含まれています。
涙腺による水分産生は定常状態(基礎分泌)で、およそ1分間で1.2μlと言われています。
10%程度は蒸発し、大半が涙点から鼻涙管を経て鼻に流れていきます。涙点に流れ込むには瞼の動きが重要で、眼輪筋の一部で内眼角に付着するホルネル筋の作用により涙のうに押し込まれるとされています(図3)。

涙腺は水分以外にもIgAなどの免疫グロブリン、ラクトフェリン、ライソゾームなどのタンパクを分泌します。これらは細菌増殖を抑え、感染を防ぐ効果を持っています。
涙腺は主として副交感神経で支配され、副交感神経の伝達物質であるアセチルコリンやVIP(血管作動性腸管ペプチド)が分泌細胞の受容体に着き、細胞内伝達機構を経てタンパク、電解質、水分が分泌されます(図4)。
交感神経も分泌に関与していますが、主としてタンパクの分泌を促進する効果と考えられています。

涙液層検査図3図4

水層には結膜ゴブレット細胞から分泌されるムチン(分泌型ムチン)が混入し水層の安定化に寄与しています。
ムチン層を構成するものは膜型ムチンとこれに付着する分泌型ムチンです。膜型ムチンは角膜上皮細胞の微小突起(マイクロビリー)より突出した多糖類で、小さな細胞内領域(カルボキシル基)、細胞膜透過領域、そして大きな細胞外領域より成ります。細胞外領域はネットワークを作り、これをグリコカリックスと呼び、グリコカリックスに分泌型ムチンが付着し、さらに水層が付着するという具合になっています。
涙液層観察装置DR?1では油層の干渉色によって、涙液の厚みを定性的に判定することができます(図5)。
マイボグラフィーは赤外線CCDカメラによりマイボーム腺の形態を観察することができます(図6)。

涙液層検査図5 涙液層検査図6

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